◆さわらび◆
〜個に応じたイメージを膨らませるためにCAIを用いた和歌の鑑賞指導〜
学年:中学校3年生
教科:国語


1. はじめに

 「さわらび」は中学3年生の国語の単元「古典を味わう」に出てくる教材である。生徒達は、1、2年生で古典教材をいくつか学習してきている。「竹取物語」「平家物語」「徒然草」などである。そこで生徒達は古文の歴史的かな遣いの読み方や、助詞の「が、を」などに省略のあること、基本的な古語の意味などについては学習している。
 しかし、中学校の古典指導のねらいである「古典に関心を持ち、親しませる」ことが、3年生になるまでにどれだけ達成できているかというとはなはだ疑問である。また古典を読み味わうために必要な、基本的な知識が学習の中でどのくらい定着してるかというと、これもはなはだ心もとないところがある。
 中学3年生は高校進学のために、いろいろな模擬試験を受けるが古文が試験範囲に入ってくると、国語の点数ががたりと落ちてくる。そしてなかなか点数が伸びなくて悩むことになる。テストの点数が悪いことが即「古文に関心がない、親しみを持っていない」ということの証明にはならないが、わからなければおもしろくないだろうということはいえる。
 中学生が古文がわからない主な理由として、「歴史的かな遣い」が読めないこと、「古語」が理解できないことがあげられる。こうした学習抵抗は和歌教材の指導の場合も同様である。そのうえ和歌は短詩形文学なので、表現が極端に省略されている。「凝縮された言葉」から描かれた情景や、作者の感動を読み味わうことは更に学習抵抗が大きくなる。特に中学3年生にもなるとその学力差は大きいものがある。教科書の脚注や学習のてびきなどをてがかりに、和歌の鑑賞をどんどん進められる子もあるだろうし、すらすら読むことさえおぼつかない子もいるだろう。こういう中では細かな個別の指導が必要である。読めない子は読めるようになるまで繰り返し練習ができ、教科書の脚注以外にわからない言葉があったら調べ、必要な情報を自分で集め整理しながら、生徒の力に応じて和歌の鑑賞が生徒自身の力で進められる指導方法はないかと考えた。そこで、生徒が個別の進度で学習を進められ、鑑賞に必要な学習内容を個別に用意することができるCAI(コンピュータ支援学習)を和歌の鑑賞指導に導入することにした。人間の心情に関わる鑑賞指導はコンピュータではできないという声をよく聞く。確かにコンピュータはそういうものを「よい」とか「わるい」とか判別はできないが、鑑賞を進めるための生徒の学習に援助はできるはずだと考え取り入れてみた。以下その実践について述べることとする。


2. コースの到達目標
3. 鑑賞指導に使う和歌の選定
4. 和歌の鑑賞指導のステップ
5. コースの特徴
6. 授業の反省と課題
7. おわりに
8. ワークシート