◆献立を作ろう◆

学年:中学校1年生
教科:家庭
領域:私たちと食物
作成:桜村立竹園東中学校 増田和代
コンピュータの利用目的:栄養バランスのグラフ化による献立の作成及び検討
コースの特徴:栄養のアンバランスが自分に与える影響を認識し、栄養を考えた食事の組み合わせを工夫する。


1. はじめに

個の時代と言われ、家庭が持つ従来の機能を失いつつある今日、食生活の重要性を充分認識させる為、何らかの形で系統立てた食教育が必要であると痛感していた。また、将来家庭においてその日常生活を通じ食に関連する考え方や習慣に関して家庭に与える影響を考えると放置できないことと思えた。しかし食生活を自ら営む経験のない中学生にとって「栄養」は興味・関心も低く、10種の食品群別に分類することもなかなかうまくいかない。ましてや中学1年生に食品の重量を覚えさせることは、かなり困難で、献立をたてさせても食品の概量がわからない為授業内容の達成に問題点を残していた。そこで栄養所要量の計算と食品群別重量の計算を入力することにより、今まで数字上の理解が先行していた献立作成の授業で、生徒の混乱も軽減されると考え、楽しみながら献立を検討し、自然な形で食教育につながることをねらいとして作成を始めた。


2. コース設計の基本方針
  1. 中学生は活動が激しく成長も著しい時期であるが、食欲にまかせて適正な食生活の在り方を見失い易い傾向にある。今日の食生活をみると、いつでもどこでも簡単に食物が手に入り、いわゆる「飽食の時代」の様相を呈している。そして「食」に関わる様々な現象が現れてきている。すなわち、過食・肥満・拒食症による体力・気力の低下、自己制御力の欠如などがあげられる。このような現象は、食生活の合理化がもたらした歪みと考えても良いと言える。この為、適正な食生活の在り方を把握させ、認識を深めさせたいと考えた。
     そこで、コンピュータにより個々の栄養価を円グラフにより提示することで、目に見えない「栄養」を視覚化させることにした。今までの一斉授業と違い、個人の食事についての診断・栄養価のグラフ化ができたことで、食生活の在り方を考えさせ、バランスのとれた食事の組み合わせを理解させることをねらいとした。
  2. 中学1年生にとって、食品群別摂取量の目安・栄養所要量を意識して献立を考えるのは、かなり高度である。まして、数字上の操作というイメージの強い「栄養価」については、調理実習と比較して関心も低く、本来大切であるはずの献立の検討が、栄養素の計算・食品群別摂取量と食材料の収束にばかり気をとられ、食生活の数字的理解に終わっていた。この問題を少しでも解消し、自主的に学習することで「生活を広範囲に総合的、体系的に扱い、生活能力・実践力を養う」という家庭科本来の目的により近づくことができると考えた。

3. コースの概要
4. おわりに

コンピュータはデータの大量処理能力、その正確性、高速性といった基本的機能の他に、これが授業で使われる場合、最も有効な機能として、その対話性、個別性、意外性が考えられる。そして、遊び的なゲームの部分を適宜加えることで生徒の家庭かへの強い動機づけとなり得ると思われる。更にこれが刺激となって創造力の向上、総合力の育成がなされる事、これらが家庭科におけるCAIの役割だと考える。「食物」において、献立の検討を学習する際、栄養のバランスを直観的に理解させることも大切だが栄養計算の基礎が理解できたら、あとはコンピュータがフォローする時代になったのであり、こうしたデータ処理を含むコンピュータの利用により、学習効果とその実践への橋渡しが期待できると考えられる。
 最後に、CAIの導入が情報化社会の波に乗った形での導入も一つだが、先ずコンピュータの意義を認識した上での導入が望ましいと考える。これまでの視聴覚教具(OHP・VTR等)にとって変わるのではなく、それらの一つとして使われることで、家庭科では他教科と違った意味での効果を生み出すことを期待したい。 


◆  フローチャート
◆ プリント・資料