5. 研究内容・方法

《62年度の取り組みとその反省にもとづく今年63年度の取り組み》

●62年度の取り組みの概要
(1)研究内容

    【コンピュータの利用】

     コンピュータを利用することで学習に意欲的に取り組むことができるようにした。
     コンピュータを利用することで個に対応する色彩学習ができるようにした。



    【生徒の進度に対応するコース】

     シミュレーションを見た後、生徒自身の進度の合わせコースを展開するようにし先へ進みたい生徒はどんどん先へ進むことができるようにした。
     生徒は、自分の必要な情報を選択し、作品の構想を練る手がかりを見い出せるよう色彩の基本的知識と色の例、作品例を見ることができる。


    【1時間通しのコンピュータの利用】

     生徒の進度に対応させるため、1時間の全部をコンピュータ利用の授業とした。


    【ワークシートの利用】

     要点やコンピュータからの問いかけ、その他メッセージを記憶することで知識の定着を図るためにと、自ら進んで学習する態度の育成を目的とするために、ワークシート活用した。

(2)反 省

    【情報提供が機械的】

     『シミュレーション→形を考えるコース→色を考えるコース』という順でコースをたどっていくように構成したが、『形を考えるコース』については、コンピュータからの問いかけや情報が機械的であったため、呑込みの悪い生徒は何が大事だったのかを記録してはいたが、内容をあまり理解できていなかったようである。


    【情報を選択する体制が不十分】

     『色を考えるコース』をだらだらと見ているだけで、知りたいという情報を自分で選ぶという姿勢ができていないため、何が必要で何を見たいかが判断しにくいようであった。


    【コースの中に情報が多すぎた】

     コースの中の情報が多すぎてどれを選択すればいいのかが分かりにくく十分な活用ができなかったようである。

●63年度の取り組みの概要

    【コンピュータの利用】

     コンピュータを利用することで学習に意欲的に取り組むことができる。
     コンピュータを利用することで個に対応する色彩学習ができる。


    【生徒の進度に対応するコース】

     生徒の進度を無制限に解放してしまうのでは、理解不十分な生徒や、コンピュータを十分に活用できない生徒や能力の高い生徒の間にかなりの開きが出てしまうことや、教師自身が開きのある対応をしなくてはならなくなり、ただの個別授業になってしまう。そのため、ブロック単位の中で個別化が図れるようにコースを設定し、生徒の学習の状態を確認しながら次のブロックに進めるように配慮する。シミュレーションコースの中では4種類のユニット(単位形)を選択できるが、はじめに選んだ ものを途中で取りやめた場合や、そのユニットではもう考えることがなくなった場合などに対応させ、違うユニットでもう一度学習できるなど繰り返し操作できる。


    【一斉授業の中のコンピュータの利用】

     コンピュータを一斉授業の中で取扱い、コース毎に学習の定着の確認をする。よって、コースの中で小単位として個に対応させるようプログラムし、発表などを通して全体で学習する場を設定することで、コースをただそれとなく通過して しまうことをなくす。
     『形を考えるコース』は、よく確認しておかないとその後の配色を考える段階にいくまでにつまずいてしまうので、一斉授業の中のコースを取入れ形をつくるための問題点について話合い発表することで、より理解を深めるようにする。


    【ワークシートの活用】

     要点やコンピュータからの問いかけ、その他メッセージを記録することで知識の定着を図るためと、自ら進んで学習する態度の育成を目的とするために、今年もワークシートの活用をおこなった。ワークシートはそのコースによって形式を変え、見やすく取りかかりやすいように配慮した。また、コンピュータを利用した学習形態外のときにも活用し、学習したことを発表したり、発表をまとめるなど学習の定着を図ることにも利用できる。


    【コース内の情報の精選】

     コースの中に情報が多すぎると生徒が情報に振り回されることになる。コースの中をライブラリーのように設定するためには、確かな分かりやすい情報を精選する必要がある。そこで、昨年のコースの中を精選し、内容がだぶついているデータやテキストを削除した。また表現の曖昧なものや、生徒の立場から分かりにくいテキストを構成しなおし、生徒が利用しやすい情報を提供できるようにした。


    【情報を選択する体制】

     どんな情報が必要なのかを選択し、消化する体制が必要である。特に『色を考えるコース』については、暖かい色、寒い色など自分が知りたい色の情報(色の例を見たいのか、作品例を見たいのか、)の選択を目的をもって行い、ただデータを眺めるだけで終わらないようにすることが大切である。そのために、

    (1) コンピュータを使う前に、それぞれの生徒のテーマを確認する。

    (2) コンピュータを使った情報の引出しについてのガイダンスを行って、約束を決めておく。

    (3) 作品の構想に見通しをもたせてからコンピュータを利用させる必要がある。