4. 研究の仮設

コンピュータを使うことで個の要求に同時に対応することができる。

     美術教育では、生徒一人一人の能力、適性等に応じ、能力を伸ばし、創造活動の喜びを味合わせる美術指導と評価が課題とされている。生徒一人一人の要求は作品それぞれがちがったテーマを持つように、数種類にも及びます。ある生徒は細かいことを気にしながら制作するであろうし、またある生徒は大きな見通しを持って制作するであろう、またある生徒は……というように。それを、一斉授業の中でどう取り扱っていくかが、今日までの課題であった。しかし、これからはコンピュータを導入することで個に応じた指導が同じ時間帯の中で行えるようになるでしょう。それは、今回の研究課題でもある色彩の基本事項(色の三要素、類似色、対照色、色の感情など)の定着においてもいえることです。ある生徒は、暖かい色について学習の確認をしたいと要求するだろうし、ある生徒は、冷たい色についてよく知りたいと思うだろうし、また、学習が不足している生徒もでてくるであろうし、作品の例が見たいという生徒もいるだろうということが、予想されます。それぞれの生徒の要求に同時に答えられる授業を展開することで、生徒が幅広く学習することができるでしょう。

シミュレーション(模擬映像)を使うことで模様の並び変えを体験的に理解することができる。

     四方連続模様はいくつかのユニットを数枚(あるいは数個)並べて構成するため、頭の中で構成しながらつくっていく必要があります。また、そのユニットを逆さにしたり回転させて使った場合、構想や空想ではほとんどの生徒が苦労するであろうし、四方連続模様そのものについてもほとんど理解することが困難でした。黒板にユニットを磁石で張り付け並び変えることも考えられるでしょうが、しかし、何回も、並べ変えられるシミュレーション(模擬映像)を使うことで、頭の中だけで理解しなくてはならないものを、眼で見、自分で操作し並び変えてみることでより体験的に理解することができます。また、シミュレーションはブロックの組立のように楽しく学習することができ、興味を持った状態で、色彩学習に取り組むことができるでしょう。