3. コース設計の基本方針と特徴

 前述の目的を達成するために次のような点を考慮し、コースを設計した。

1.

ビデオ映像を用いて小数の関心を高める。

 導入時に、体重や身長、50m走のタイム、くつのサイズなどのビデオ映像を視聴させ、小数は、身近な数であることを意識づけ、学習への関心を高める。


2.

小数が十進法であることの素地的見方の育成をはかる。

 液量や長さなど具体量で、単位量より小さい量の測定から入り、1を10等分する具体的な操作を重視し、「0.1は1を10分した1つ分の大きさ」を表していることをしっかりつかませる。
 また、0.3dl、0.8dlなども、0.1dlのいくつ分として、量をイメージ化させながら、単位量との比較の上で、発見的に、小数が十進法であることの素地的見方の育成をはかる。


3.

具体量から、数としての小数に徐々に抽象化していく過程を大切にする。

 具体量から抽象化する過程を、きめ細かに構成し、学習内容に過度の飛躍がないようにする。
 すでに抽象化の進んでいる児童には、具体物、数直線等を与えるのをひかえ、問題を言葉で与えたりして、さらに抽象思考を高める。一方、まだ抽象化の進んでいない児童には、改めて数直線や具体物を与え、個人に応じてスモールステップで援助していき、抽象化させながら定着をはかる。